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[2008年03月24日] サンデープロジェクト問題:シリーズ「言論は大丈夫か」

このシリーズは過去何度か見たが、どれも乱暴な主張である様に思う。
今回は当局による言論規制を問題にしているのだが、
実はこれらは情報統制の問題であり、言論規制とは違うのではないか。
当局の情報統制のあり方は議論の余地が存在するとは思うが、
言論と言う意味ではマスコミやジャーナリズムにこそ問題があると考える。
何より、この番組自体「言論は大丈夫か」と懸念される様な内容であった。

これから以下について論じたい。

o この鑑定医の言い分について
o 出版された本について
o マスコミの報道について
o サンデープロジェクトの問題点



o この鑑定医の言い分について

前半は少年審判の鑑定医が秘密漏示罪で逮捕された事を問題にしている。
(後半も問題があるのですが気力がなくなったので省略します)
この鑑定医は捜査資料を出版社等に開示した理由を
(報道が「長男が母親に殺意を持ち放火したように伝えた」ため)
「少年に(継母への)殺意がないことを知ってほしかった」と述べている。
しかしながら保護処分で「継母への確定的な殺意なし」となっているのだから
彼の行為に社会的な意義があるとは言えない。

何よりこの鑑定医は少年に告訴されたのだ。
例え厚意からであったにしろ少年はそれを望んでいなかった事になる。
なぜ少年の許可を得なかったのか。
本当に金銭や売名の目的は無かったのだろうか。
業務上知り得た他人の情報を金儲けや売名に利用するなど許せるものではない。


o 出版された本について

出版した講談社についても疑問がある。
この『講談社「僕はパパを殺すことに決めた」』と言う本は
帯に「3000枚の捜査資料」と謳っており、
表紙には少年が書いたと思われる捜査資料が使われている。
大半は非公開の少年審判では表に出ない少年の供述調書の引用との事だ。

この鑑定医は「本は意図した様なものではなかった」と言っている。
講談社は本当にジャーナリズムとして出版しようとしていたのだろうか。
「原稿は事前に(鑑定医には)見せられず発売前日に本を渡された」
と言う事である。本当に事実を知らせようとするなら専門家であり、
実際に鑑定した鑑定医当人の意見を聞かないはずが無い。
このジャーナリストや出版社の出版の目的には疑問を持たざるを得ない。
これではメモ書きからゴーストライターが書き起こした芸能人の暴露本と同じだ。
それにハードカバーと言う形態にも疑問が残る。
講談社は事実を知らせるのではなく単に話題性により売ろうとしただけではないのか。


o マスコミの報道について
番組内で既に挙げた「長男が母親に殺意を持ち放火したように伝えた」事以外にも
多数の誤報の例が述べられていた。
例え警察が『嘘』の情報を流したとしても、事実を確認出来ない事を『報道』する
マスメディアにこそ問題がある。単なる憶測を記事にしてしまうメディアが問題なのだ。
この鑑定医の動機もマスコミの誤った『報道』が原因だ。



o サンデープロジェクトの問題点

いつもの如く「驚くべき」「奇怪な」「異例の」「異様な」等の言葉や効果音で
印象操作を行っている。こんなものは「報道」ではない。低俗なバラエティ番組だ。

この件での最大の問題は、(善意からにしろ)鑑定医が「当人の望まない捜査資料」を
勝手に本にした事にある。これを許してしまって良いのだろうか。
しかもサンデープロジェクトではこれを後半の冤罪事件と同じだと主張するのだ。
少なくとも前半においては、少年に確認しなかった鑑定医に問題があるのではないか。

他にも、

# (後半部分)の様にマスコミ報道によって冤罪を証明し、救われるケースが激減する
# おそれが出てきたのだ。
=>マスコミが冤罪を証明するケースは『激減する』ほど存在するのか

# 「結局はマスコミの力を借りる事が下手すれば出来なくなる事につながりますよね。
# そこまで考えると、ものすごく恐ろしい法律」を
# 字幕では「ものすごく恐ろしい法律」としている。
=>「そこまで考えると」があると無いとでは意味合いが全く変わる。

# (被告弁護人の)
# 「見せしめの為に逮捕抑留したとしか言いようがありませんね。
# 『私たちの立場からしたら』」
をテロップでは「見せしめのために逮捕抑留したとしか言いようがない」
と、ポジショントークをさも客観的事実であるかの様に示している。
しかもこれ(ポジショントーク)をご丁寧にも
# 「POINT マスコミに情報を流す者を萎縮させる言論規制」
とまとめてさえいるのだ。
=>『私たち(弁護人)の立場からしたら』は重要だ。



# 秘密漏示罪の起訴が過去45年は一度もないし、
# 過去にも「鑑定医が少年の問診内容を引用して述べた」が問われていない
この場合は個人の意見の表明の中での引用のようだが、今回の場合は
捜査資料そのものを部外者に見せたのである。随分違うのではないか。

# 崎濱医師を逮捕しながら草薙氏を逮捕せず、講談社を強制捜査しないのは
# 情報源を抑える言論規制ではないのか?
=>もっと多く逮捕や強制捜査をしていれば言論規制にはならないと言うのか。
ジャーナリストや出版社が知った事を口外するなと言う事こそ言論規制である。
守秘義務を徹底させる事は情報統制だ。


# 『大物』が告訴代理人を務めている(から国策捜査に違いない)
=>(可能性は否定しないが)飛躍しすぎだ。


# 「個人情報保護法が出来てから医者が神経質になっているきわめて」
この医者は何の為に『特定の個人を識別できる情報(氏名、生年月日等)』を
開示したいのだろうか。(個人情報の伴った病歴を開示したいのか?)
「個人情報保護法」自体は事業者に向けたものだから、
病院の制度を問題にしているはずで医師個人との関連が見出せない。この医者は
単にマスコミが気に入る様な事を言ってテレビに出たかっただけではないのか。
医者が患者の秘密をべらべら喋ってしまったら、
患者は安心して診察を受ける事が出来なくなる。
こんな事をしたら医療制度自体が崩壊するだろう。
=>少なくとも法律以前に職業倫理として守秘義務は守るべきだ。

本人の同意も無い医療情報?を入手して、マスコミは一体何をするのだろうか。
マスコミが知った以上、公開しない訳が無い。本当にこれで良いのか。



---
私は「シリーズ」というもの自体が問題だと考える。
同じ事件を連続して取り上げると言う意味での「シリーズ」は構わないが、
この『シリーズ「言論は大丈夫か」』の様な場合、
「言論に問題がある」と言う結論となる様に『事実』を加工する事になるからだ。
これはすなわち結論が先にあるのだ。こんなものが『報道』であるはずがない。

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